弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

被害者であるにもかかわらず、過失相殺を反論されている場合の再反論について

 

 こんにちは!かがりび綜合法律事務所 代表弁護士の野条です!

 

 本日は、被害者であるにもかかわらず、過失相殺を反論されている場合の再反論についてです!

 

 交通事故の際に、過失割合だけではなく、被害者側の過失相殺を保険会社側から反論されることがままあります。

 例えば、被害者側の大腿骨が粉砕骨折しているのも骨粗鬆症により骨がもろく弱くなっていたことを根拠に、相応の素因減額がなされるべきであるとか、被害者側が過去に別の事故や身体的な事情により被害者側の過失をいわれることがあります。本当にこんなことが素直にまかりとおっていいのかと、被害者であれば強く思うことだと思います。

 

 もっとも、裁判所の見解としては、被害者に対する加害行為と被害者のり患していた疾患とがともに原因となって損害は発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、被害者の当該疾患を斟酌することができるとされてます(最高裁判所第一小法廷平成4年6月25日)。

 

 これについては、加害者側(相手方保険会社側)が主張立証する必要がありますから、被害者側としては徹底的に反論していくことになります。

 

 例えば、大腿骨骨折などで骨粗鬆が疑われているであればYAM(20歳から59歳の骨密度平均)の数値をあきらかにしたり、医師に医学的にもこちらの身体的素因がないことにつき意見書を書いてもらったりすることも重要でしょう。また、被害者の方の年齢が70歳と高齢であれば、一般的に骨密度は年齢ととともに減少していくため骨が脆いことが「疾患」とまではいえないことも反論の要素でしょう。

 

 さらに、大事なのは、本当に被害者の事故の影響により負傷の程度が大きくなっていることをこちらも反証していくことです。例えば、乗車していた自転車ごと倒れているのであれば、身体は路上に叩きつけられるのでありますから、相当の衝撃を受けることになるでしょう。現場の写真実況見分調書から立証することも大事です。当職も、自転車の状況が撮影された写真から、相手方の運転車両の下敷きになっていることからも衝撃の強さが分かる筈である旨を反論して、裁判官にもみてもらって反論が功を奏したことがあります。

 

 このように、あらゆる角度から細かく分析していく必要がありますので、ご必要でしたらご相談くださいますようお願いします!