弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

解決事例 高齢者の被害事故 示談金ゼロベースから最終的にトータル170万円近くで解決した事例

 こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!

 本日は、高齢者の被害事故について、示談金ゼロベースから最終的にトータル170万円近くで解決した事例を紹介しながら、対応していきたいと思います!

 昨今、高齢者の事故が増えているのは、ニュースでも御覧なられているかと存じます。
 高齢化社会に伴い、被害者側も高齢者の事案も多くなっています。
 高齢者の事故は、以下の特徴があります!

◎ 被害者が重症になりやすい ◎相手方保険会社から身体的素因等の反論もよくなされる ◎重症化になれば当然争う争点も増える(入院の必要性、介護の必要性、後遺障害の程度等)

 本ブログでも取り扱ってきたケースで、高齢者の事案は幾つもあった上、特徴的な主張や反論がなされることも紹介させて頂きました!

 
kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com

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 このため、高齢者の事故においては、いくつもの争点が生まれやすいので、同居されている家族でも弁護士費用特約保険があれば、初期の段階から弁護士さんに相談されることもお薦めいたします!

 さて、紹介する事件の紹介に移りたいと思います!

1 事案の概要について

  被害者さん(以下、「Aさん」といいます。)は、加害者Bさんの運転の衝突事故で傷害を負いました。この際に、自転車に乗っていたAさんはBさん運転の自動車と衝突して受け身をとれない状態でアスファルトの路上に転倒したため、Aさんには相当の衝撃がありました。Aさんは、同日、病院に緊急搬送され、左手中指骨遠位端骨折、頭部挫創、右腹部打撲傷と診断され診療報酬明細書には頚椎骨折の疑い、肋骨骨折の疑い、胎盤骨折の疑いと記載がなされている状態でした。その後、負傷した指の観念的骨接合術による手術が行われました。その後、同病院より病室を確保する必要からと思われるが退院勧奨がなされたが、Aさんは右腹部を強打したことによる痛みもあり、現に自立した生活も困難であったため、入院によるリハビリを要望し、別の病院に転院となり、介護状態のなか、相当期間の入院することになりました。

2 本件の争点について
  読者の方には、入院の必要や介護の必要があるのではないの?事故がなければ入院する必要がなかったのではと思われる方も多いと思いますが、本件では、実際に入院の必要性や付添の必要性について裁判をしてまで争われたりしました。また、そもそも小指が曲がらないことになっていたため、後遺障害の異議申立を行い、その異議申立ては認められ、後遺障害も得られています(医療照会の内容については添付しておきます。)

3 弁護士のコメントとして
  入院の必要性については、Aさんが自立した生活がままならない状況下において退院を勧奨されたため、転院を希望したものにすぎず、主治医も入院の必要性について述べている旨を主張しました。
  また、具体的には、事故態様として、Aさんが入院するほどの事故であったことを毅然と主張しました。考えてみればお分かりかもしれませんが、交通事故前の自立した生活が出来ない状態であれば入院治療を行う必要性があるところ、Aさんは左手小指のみを骨折しているわけではなく、右腹部から下肢にかけて強打しており、その衝撃は肋骨を骨折する程度のものであり、高齢者のAさんが自立した生活状態に戻るためには歩行訓練や左手首、指機能の回復、日常生活の訓練を自立して行える状態にまで戻ることが必要であったとされるほどでしたので、これは入院の必要性がないとはいえないものでした。
  また、個室利用については、主治医自身が個室を利用する必要があると述べていることを医療照会で立証していき、筋力増強訓練を受けているが、両股関節周囲筋筋力低下が見られ、歩行時に体幹の代償が見られ、歩行中の右膝内側に痛みがあり、自立して歩行が難しい状況であったことから、個室利用が必要であることを主張していきました。
  このようにして、最終的にはAさんが希望する形での金額に到達しましたので、無事に勝訴的な和解に導けることになりました。

  このような事例もございますので、お困りごとございましたら、遠慮なくご相談くださいますようお願いします!!




 以下、参考にしてみてください。


1 自動車損害賠償責任保険お支払不能のご通知(以下、「回答書」といいます。)には、「中手指節関節(MP)および近位指節間関節(PIP)の可動域が、健側(右小指及び右環指)の可動域角度の1/2以下に制限されていないこと」との記載がなされていますが、先生としてのご判断も教えて頂ければと思います。制限されている場合のその理由もご教示していだければ幸いです。

 □健側(右小指及び右環指)の可動域角度の1/2以下に制限されている
 □健側(右小指及び右環指)の可動域角度の1/2以下に制限されていない
 【                                   】
【                                   】




2 回答書には、「また、それぞれの遠位指節間関節(DIP)が強直したものとは捉えられない」との記載があります。これについてお聞き致します。
(1)「左小指の曲げにくさ」については、遠位指 節間関節(DIP)が強直したものといえる筈であるが、先生は強直といえるものといえるでしょうか。その理由もご教示していだければ幸いです。
 □「強直」しているものといえる。
 □「強直」しているものといえない。
【                】
【                                   】




3 DIP関節(第1関節)を屈伸することができなくなったといえるものでしょうか。屈伸がすることができなくなったというのは、DIP関節(第1関節)が硬直している状態や屈伸筋の損傷など原因が明らかで自動で動かせない状態であることとされています。
  これについては、先生として、どのようにお考えでしょうか。
  以下の点であてはまるものがあれば、それにチェックをして頂き、その上で先生のお考えを教えて下さいますようお願いします。
  □DIP関節(第1関節)が硬直している状態
  □屈伸筋の損傷など原因が明らかで自動で動かせない状態
【                】



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