こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です。
本日のテーマは、【知識編】休業損害のために賃金センサスを用いる場合はどういうとき?です。
1 休業損害について
休業損害についてはは、以前このブログでも幾つも取り上げてみましたが、休業損害とは、交通事故により症状固定時までに交通事故により仕事を休まざるを得なくなったことにより発生した損害です。
以前は、休業の必要性及び相当性の立証をどうするのか、ということでも説明させて頂きました!
kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com
また、主婦の休業損害については、知識編と解決事例編でもお話させてもらいました!
<知識編>
kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com
<解決事例編>
kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com
休業損害の際には、確かに賃金センサスを用いることがありますが、すべての場合で賃金センスを用いることではありません。
それでは、どういうときに賃金センサスを用いるのでしょうか?
2 賃金センサスって??
いきなりこれを出されてもという感じかもしれませんが、平たくいえば、厚生労働省が集積している、年度別、学歴別、年齢別、男女別、職業別等のよる労働者の平均年収ベースというものです。
すなわち、これを用いるということは、同じような年齢で、同じような職業している方は、大体これぐらいは年収あるよね!?という資料として使うということになります。
3 個別立証の原則
では、これを常に用いればよいのではないかということになりますが、そういうことではありません。
以前にもお伝えしましたように、個別に立証するというのが原則になります。
裁判所は、税務署収受印のある確定申告書の控えや住民税の納税証明書などの信用性ある公文書で実収入を認定することを基本原則としていきます。ところが、全てどの方でも個別立証ができるとは限りませんし、実収入が不明確であることもあります。裁判所は、このあたりでも直ぐに賃金センサスを用いることはせずに、実収が不明確であるからといって、すぐに平均賃金額を基礎収入として算定することは誤りで、当該被害者が平均水準又はそれ以上の稼働能力を有し、かつそれを継続的に発揮できることを裏付ける具体的な基礎事情が必要としています。
すなわち、休損算定のための基礎収入は現実の収入を指すのが原則ですが就労による収入を正確な数値として確定することが出来ないものの、少なくとも平均賃金を上回る収入を得ていたと認められる場合には、賃金センサスの平均賃金額を用いて休業損害を算定することも考えれる、という程度の認識を持っていただける方が良いかと思います!
自営業者の場合には、事業主の休業期間中または期間経過後に売上減少した場合に、はたして交通事故により減少したといえるのか、という問題もあって複雑化することが多いです。
休業損害でお困りの方は、一度、かがりび綜合法律事務所までご相談くださいますようお願いします!
野条 健人弁護士(かがりび綜合法律事務所) - 大阪府大阪市 - 弁護士ドットコム