弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

【知識】後遺障害の労働能力喪失率は決められたもの?

こんにちは!

かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!

本日は、後遺障害の労働能力喪失と補償内容についてお話ししたいとおもいます!

以前、後遺障害の労働能力喪失の仕組みについてはお話させていただきました!また、神経症状において後遺障害の異議申し立てなどについてもお話しいたしました!

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今回は、労働能力の喪失は決められたもの、ということでお話ししたいとおもいます!

1 運用について

  後遺障害により被害者がっどの程度労働能力を低下したかの認定判断については、一般的にその後遺障害が自賠法施工令別表第1及び第2に定めるもののいずれかに相当するかを参考して、判断されます。この自賠法施行令の別表は、労災制度の運用において用いられているものであり、これが一つの指標となり運用されていることが事実です。実務においても、統一性、客観的に公平に見て、自賠法施行令の別表と労働能力喪失表との対応関係があるとされています。

2 本来は個別立証の原則

  ただ、本来は、自賠責精度における後遺障害の認定は一つの運用に係るものであり、裁判所の認定判断を拘束するものではあありません。すなわち、自賠責制度で認定された後遺障害の程度が被害者の後遺障害の実情に合致しない場合には、個別の事情(被害者の職業、年齢、性別、後遺障害の部位、程度、事故前後の稼働状況等)により労能能力喪失率を高く認定されることもあります。

3 労働能力喪失率表より高い喪失率が認定されることはあり得る。

年齢等にも応じて他業種への転職には困難と大きな収入減少が伴うのが通常であり、労動能力喪失率表よりも高い喪失率を認定することには合理的な場合もあります!

実際の裁判例では、当該職業を継続しているものの、業務に支障が生じているとして、労働能力喪失率表よりも高い喪失率が認定されているものもあります。


4 裁判例について

判例によれば、例えば、10級10号の右肩関節機能障害が残存した音響機器の設計、製造及び販売業の被害者の喪失率について、音響機器の設計作業等に支障が生じ所得が激減していることを考慮して30%としたものや、12級12号の胸第出口症候群が残存した看護師の喪失率について、力仕事や夜勤に一定の支障を受けているところ、看護師の収入においては力仕事や夜勤が高収入の一要因となっていることを指摘し、20%としたもの、14級10号の頻部痛等が残存した医師の喪失率につき、長時間の手術に支障が生じていることなどを認定した上、当直等による基準外給与の減少を含む収入状況を勘案して15%としたものなどがあります(交通損害関係訴訟 青林書院引用)


もっとも、基本的に裁判所の考えたの枠組みでは例外的な判断になりますので、障害の部位及び程度と職業の特性との関係について丁寧に立証・認定されるとされています。その上で、差額説の考え方からすると、労働能力喪失率表による喪失率を上回る収入減が生じており、そのような収入減と事故との間に相当因果関係が認められる場合に、労働能力喪失率表を上回る喪失率が認定されるということになることになるとされています。

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このような事例もございますので、交通事故の被害にあわれましたら、一度かがりび綜合法律事務所までご相談いただければとおもいます。

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