弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

身体的素因について

 

こんにちは!

 

かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!

 

本日は、交通事故での身体的素因*精神的素因についてお話いたします!

 

以前にもお話させていただきましたが、本日も素因です。交通事故では被害者が持つ疾患やそれに準ずる事情により交通事故の被害を拡大させているような場合には、相手方より損害の公平な分担から、減額を求められることがあります。

 

しかしながら、被害者側としてはこれを容易に受け入れるわけにはいきません。例えば裁判例でも、首長判決というものがあり、「人の体格ないし体質は、すべての人が均一なものということはできないものであり、極端な肥満など通常人の平均から著しくかけ離れた身体的特徴を有する者が、転倒などにより重大な傷客を着りかねないことから日常生活において通常人に比べてより慎重な行動をとることが求められるような場合は格別、その程度に至らない身体的特徴は、個々人の個体差の範囲として当然にその存在が予定されている」と述べ、原判決を破なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、素因として減額しないと解し、事件を福岡高裁に差し戻しました。

 

体質的素因のうち疾患は素因減額の対象となるが、身体的特徴は、原則として、素因減額の対象とならないと考えています。最近では、高齢者の事故で骨粗しょう症介護施設に入る必要性があるかないか、または、過去に事故で負傷したことも素因同様の議論がなされることがあります。

 

身体的特徴であっても損害の公平な分担を図るうえで素因減額を考慮すべき場合もあることは、この首なが判決でも述べられているところです。疾患か身体的特徴かの議論は実益に乏しく、結局、当該体質的素因について素因減額をすべきかを個別に議論することになります。

 

最判平8.10・29(交民集29巻5号1272頁・判タ947号93頁)この判決は、首なが判決と同日に示された判決で、後縦靭帯骨化症判決などと呼ばれています。

 

この裁判でも身体的素因の議論がなされています。当該素因がどの程度損害の発生・拡大に寄与したかとその素因が寄与したことで発生・拡大した損害を加害者に帰責することができるかが問題となっています。

 

この裁判では、素因減額に際して、「加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどうか、疾患が難病であるかどうか、被害者の責めに帰すべき事田かあるかどうか、加害行為により被害者が被った衝撃の強弱、損害拡大の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情によって左右されるも」と述べています。

 

様々なポイントがありますが、交通事故の被害者側としては、果たしてそれは被害者の落ち度といえるものか慎重に検討し、不当な反論には再度再反論を行なっていく必要があるかとおもいます!!

 

お困りの方はかがりび綜合法律事務所までご相談ください!