こんにちは!
かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です。
本日は、交通事故における脊柱変形についてお話いたします。
まず、6級と8級は、脊柱の後彎の程度とコブ法による側彎の程度により認定されます。このような程度にならない場合でも11級7号に該当する場合があります。
後述するように、脊柱の変形障害名地によって11級7号の等級認定を受けた事例で、20%の労働能力喪失率を認めた事例もあります。
さて、6級と8級のでもX-p,CTまたはMRIで骨折等を確認できる場合が前提になり、後彎または側彎が頚部から胸腰部にまたがっている場合には,後彎については前方椎体高が減少したすべての脊椎の前方椎体高の減少の程度により,側彎についてはその全体の角度により判定いたします。
また、脊柱の運動障害については、脊柱の圧迫骨折等の器質的変化の存在が前提となります。これがなく運動制限が生じていても局部の神経症状としての等級が認定されます。
脊柱の運動は頚部とその他の部分である胸腰部の2つに区分して測定して行われ、原則として自動運動による可動域を測定し参考可動域角度との比較により制限の程度を評価するとされています。
☆「強直」…関節の完全強直またはこれに近い状態。
☆「これに近い状態」…主要運動のすべてが参考可動域角度の10%程度以下に制限されるもの。
☆「10%程度」…参考可動域角度の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度。
関節可動域が10度以下に制限されている場合はすべて「これに近い状態」に該当するものとして取り扱れます。
脊柱変形で争点となりやすいのが、労働能力喪失です。
脊柱の変形障害名地によって11級7号の等級認定を受けた事例で、20%の労働能力喪失率を認めた事例(横浜地判平成26年10月20日事例)です。
この裁判例では、被害者の脊柱変形自体は労働能力に影響を与えるものではなく、後遺障害の実質は神経症状としての腰痛であって、その腰痛も重大なものではないため、労働能力喪失率は低くなるものであるのではないかが問題となりました。
これについては、裁判所判断としては、「その脊柱編きの程度が脊柱の支持性と運動性に軽微な低下しかもたらさない程度のものにとどまると認めるに足りる事情はなく、原告の年齢も考慮すれば、むしろ脊柱変形が労働能力喪失に与える影響は大きいというべきであるから、本件においては、20%の労働能力喪失率を認めるのが相当である。」としました。