弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

交通事故と自死について

 

 こんにちは!

 

 かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です。

 

 少し重たいテーマですが、交通事故の書物には記載がある事項になりますので、避けては通れないと考えて論じます!

 

 テーマは、交通事故後の被害者の自殺、です。

 

 交通事故被害者が自殺した場合に,加害者に死亡損害について賠償請求できるかが問題となります。


 ここで、一番の争点としては、 事故と自殺との間の因果関係が問題となります。と言いますのも、交通事故の因果の流れとしめ、自殺は交通事故の直接的な原因とされない、つまり、抑うつ状態等でなければ自殺は被害者の完全な自由意思であり,そもそも因果の流れで生じた結果とはいえないとされるからです。

 

 この点については、傷害(及び後遺障害)の程度が重く、自殺を誘引するうつ病抑うつ状態の存在が実際にあります。このため、事故と抑うつ状態との間の因果関係の有無について、裁判例は,事故が抑うつ状態起因の主原因でなくとも一原因となっている場合にも,原則として事故との因果関係を肯定する傾向にあります。

 

 形式上の理屈ではそうなのですが、ここでよく問題となるのが証拠なのです。すなわち立証の壁として、どこまでが認められるのか、というのが問題となります。

 

 仮に認められたとしても、心因的要因に基づく素因減額の有無・程度が争点となります。裁判例上,自殺については心因的要因を理由とする素因減額が行われる傾向にあり,減額率の判断においては,事故による受傷の程度,後遺障害残存の有無・程度,精神疾患の既往の有無,うつ状態惹起についての交通事故以外の原因の有無・程度,等が考慮されます。

 

f:id:kagaribi-kotsujiko:20211009181538j:image