弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

解決事例 自営者の休業損害が裁判により認められて勝訴的和解で解決したケース

 こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!!

 本日は【自営者の休業損害が裁判により認められて勝訴的和解で解決したケース】を扱いたいと思います!

 さて、これまで休業損害については、幾つかお話させて頂きました!

  
kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com


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 休業損害については、細かく言えば幾つか論点があるのですが、問題となる事案としては、自営業者の休業損害、ここでは特に休業の必要性と休業の必要性がある場合の1日あたりの収入計算、が問題となるケースがあります!説明させて頂き、解決事例へと移りたいと思います!

1 自営業者の休業の必要性について
  まず、自営業者の休業の必要性については、給与所得者より争われるケースが多くあります。給与所得者と違い、休業した実態については会社で的確に把握されていない(例えば、給与所得者であれば休業損害証明書があります)ことにつきます。また、仕事上休業をしなければらならなかったのかも客観的には立証が難しいため、医証(カルテ)や業務内容から詳細に導いて立証していく必要があります。場合によっては、医療照会も行う必要もあるので、このあたりでお悩みの方は弁護士さんに相談するなど検討してみる必要があるでしょう。
  
2 1日あたりの収入計算について
  次に、1日あたりの収入です。これが一番大変な作業です。事業者の基礎収入額を計算する際には、基本的には公的証明である確定申告気足の金額に基づき立証していきますが、なかにはまだ確定申告がなされてない方や申告外所得がある場合にもっと休業損害があるはずだ、という主張になっていきます。ただ、裁判所の考え方では、原則論としては公的証明である確定申告に基づきます。なので、例外としての主張するハードルは相当程度高いかなという印象です。それでも、裁判所としても実際の心理において、被害者が主張する事項業や売上、経費の存在から一定金額の所得を認めてもらうことがあります。それでも結局は信用性の問題になりますから、極めて例外的な事案に限られるとみられることが多いです。
  ただ、ねばり強く主張することにより、一定の損害が認められる事案もあります。例えば、裁判例東京地裁平成27年1月28日判例)では、確定申告の有無は必ずしも明らかではないが、休業損害を算定するための基礎収入額について、交通事故直前に相当額の売り上げがあったことを認定した上で、これが安定的かつ継続的なものとは言い難いこと、実績に乏しいこと、経費額やその内訳について具体的な主張立証がないことを述べ、賃金センサス男性学歴計平均6割相当額を認めた事例もあります。
  あと忘れてはいけないのが、休業により支払った固定費等も損害として主張すべきですね。損害保険料、地代家賃、リース代、利子割引料、減価償却費等です。他にも自営業者の休業損害の論点はあるのですが、このあたりにしておきます!お困りごとございましたらご相談ください!

3 事例のご紹介について


慰謝料・損害賠償 人身事故
依頼主 40代 男性

(1)相談前について

電気工の依頼者様は事故により肋骨骨折等の傷害を負い、6か月間休業していましたが、相手方保険会社より休業の必要性に争いが生じ、依頼者様の希望する休業損害や慰謝料が認められない状態でした。このため、弁護士に相談がありました。

(2)相談後について

弁護士が依頼を受け、相手方保険会社と交渉しましたが形式的な回答に終始したため提訴しました。その結果、休業損害は認められるべきであるとして勝訴的和解で解決致しました。

(3)野条 健人弁護士からのコメント

事業所得者の収入減少額については、一般に確定申告や添付資料の控えによって認定がなされます。ところが、自営業者の場合は、申告書上減収が見られないケースや申告が過小であるため実際の減収額が割に合わない、減収期間(休業期間)の整合性がよく分からない等の理由により休業損害が認定されないケースがあります。

もっとも、減収については、被害者側が主張する事業の内容、証拠上明らかな売上と売上原価及び経費の存在を立証し、それが認められると裁判所は実態を斟酌した休業損害を認めるケースがあります。

休業の期間については、その仕事が客観的に休業する必要があることを医証(カルテ)に基づいて丁寧に主張する必要があります。

その際に重要なのがその仕事がどうして出来ないのかを丁寧に論ずることです。仕事によって休むべきものか休むべきではないかは大きく変わってきます(デスクワークと力仕事関係の仕事でも想像すれば歴然だと思います。)

さらに、本件では事故により代替の労働費用(依頼者様が仕事ができなくなったことによる外注に出した費用)の明細を揃えて証拠にしたり、現場関係の仕事内容や写真を揃えて裁判官に分かりやすく説明したことも効果的だったと思います。

必ずしも認識していた休業損害の金額が認められなくとも、慰謝料が増額されることもありますので、一度弁護士までご相談頂ければと思います。







https://www.bengo4.com/osaka/a_27100/g_27106/l_339217/#pro2_case



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