弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

整骨院における施術費が損害として認められるためには、

こんにちは!

 

かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です。

本日は、整骨院における施術費が損害として認められるためには、ということをテーマに解説していきたいと思います!

 

整骨院治療はむちうちと関連が多いのでよか取り扱ってきました。まず、整骨院で施術費用の一般から述べていきます!

 

★交通事故での治療費についての一般論
 交通事故での治療における費用は傷害の具体的な内容・程度に照らし,症状が固定するまでに行われた「必要かつ相当な治療行為」が損害として認定されていきます。
 具体的には、①医学的見地からみて当該傷害の治療として必要性及び相当性が認められること、かつ、②報酬額が社会一般の水準と比較して妥当なものとされています。

 

 それでは、整骨院も同じように考えられるのでしょうか?整骨院は病院ではないため、本来は少し違った観点で見られることになります!

 原則的には、医師の同意が必要とされています。緩やかに見られることもありますが、医師の指示があれば,特段の事情がない限り、必要性と有効性があることを強くうかがわせることになります。

 

 ただ、医師の必要性がなくとも、効果の相当性、妥当性があればクリアできることもあります。

 

医師の指示が原則必要といわれる所以
    しかし・・
   医師の指示があっても,③~⑤相当性がなければ請求はできない。
   反対に,医師の指示がなくても①~⑤が認められればOK

  ウ 問題のある事案
   ④期間の相当性について
    片岡講演の「6か月を一応の目安としたらどうか」との発言
     しかし・・
    6か月たった瞬間にピタリととまるのは寧ろ違和感?
    あくまで一応の目安,①~③,⑤の要件で問題ありと判断されることもある。

第2 医師の同意,脱臼又は骨折
(1)医師の同意がある場合とない場合
  医師の「指示」→そもそも指示があったとしても,特段の事情がない限りは①狭義の必要性と②有効性を伺わせる,という一事情にすぎない。
  医師の「同意」→明示的なものから黙認に近いものまで,様々。同意の有無にかかわらず,①~⑤が重要。

(2)脱臼又は骨折の場合
  ア 柔道整復師法17条の趣旨・内容


    

※刑罰も規定
※医師との違いを明確にし,患者の身体を保護する目的

イ 要件,損害と認められる範囲
   ここでの医師の同意がないことは,医学的な必要性・有効性がないことを強くうかがわせる事情になる。
   医師の同意がない応急手当の場合,応急手当であることを立証できた例外的場合に限って施術費が認められる。
   ※ただし,医師の同意は書面・口頭問わない。患者・施術者どちらに対して行われてもよい。同意書の添付までは要しない→被害者保護の要請に欠けることはない。
    ←天辰コメント:口頭でされたら結局立証できず,被害者保護に欠ける。

第3 全額認められない場合
(1)保険基準説,割合説
     保険基準説・・労災保険料,健康保険算定基準をベースにする手法
  ★(主流)割合説・・総額の何割かという形で認定する手法
(2)平成15年以降の裁判礼の傾向
   割合説が多い。保険基準説は,引き直し主張を前提とする。そこまで煩雑な主張をしてくる代理人はいない・・

(3)裁判例
№ 判決日 認定範囲 医師指示,同意 症状,理由等
京都地裁
H23.5.10 施術費の8割
<請求>
46万9010円
<認定>
37万5208円 指示はなし ・整形医「保存療法」望ましく,運動療法必要性認定
・診療録上,必要性自体は否定できない
・医師に病院を紹介されて整骨院をやめている
・頻度につき,整骨院と,紹介後の病院が同程度
・やや改善あり
東京地裁
H28.6.3 施術費の7割
<請求>
65万7770円
<認定>
46万0439円 同意あり ・頻繁だし高い
3 大阪地裁
H27.2.26 施術費の5割
<請求>
68万5556円
<認定>
34万2780円 指示あり ・病院が月3回なのに整骨院は3日に1回
・症状残っており,施術の効果なし
4 大阪地裁
H26.9.9 施術費の25%
<請求>
32万0580円
<認定>
8万0145円 勧められないとの回答 ・半年以内であり,著しく長期とはいえない
・一定の効果あり
・医師に止められまではしなかった
東京地裁
H26.7.2 約3分の1
当初1ヶ月は全額,翌2ヶ月は半分,以降は0円 指示なし ・車の損傷小さく,衝撃への構えあり
・後遺障害なし
・途中から整骨院のみ