弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

【解決事例】【事故時に失業者であっても後遺障害逸失利益と過失割合での修正が認められ、交渉時の提示額の3倍程度上昇し、勝訴的和解に至ったケース】

【事故時に失業者であっても後遺障害逸失利益と過失割合での修正が認められ、交渉時の提示額の3倍程度上昇し、勝訴的和解に至ったケース】

 こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!!

 これまで弁護士の野条が扱ってきた案件について、紹介しながら解説をさせて頂き、被害者の皆様に役立つ情報を紹介させて頂ければと思っております!

 さて、本日は、失業者のケースに事例をあててみたいと思います!

 交通事故における「失業」は、論点としては、大きく言えば2つあると考えております!

 第1に、被害者が退職したり、解雇されたりして「失業」となるケース

 第2に、事故当時に「失業」者であったとしても後遺障害逸失利益が認められるべきかが問題となるケース

 です!本件での事例紹介では、第2のケースを紹介させて頂いておりますが、本日は両方とも説明したいと思います。

 まず、第1の、被害者が退職したり、解雇されたりして「失業」となるケース。

 本件事故により休業することが相当因果関係がある場合には、当然、「休業補償」は得られるはずです。これとパラレルに検討していけば、その後、症状が固定するまでの間の収入減少について、相当因果関係の範囲が認められれば、賠償請求は認められるでしょう。ここで大事なのが、本件事故により休業して、退職及び解雇されられたりすることの立証です。医証(カルテ)はもちろん、退職となると、事故の影響を直接及び間接受けていたのか、解雇であれば解雇通知書や解雇に関する書面を会社に提出すべきですし、退職でも同様に何らかのエビデンスは必要となります再就職かどこまでできるのか、休業は完全休業でなけれなばらないのか、そのあたりもキチンと主張すべきでしょう。
 また、このあたりのエビデンスが弱くても事故による影響を受けていることが理解されるレベルであれば、慰謝料の算定要素として斟酌される場合があります
東京地裁判昭44年6月25日参照。赤い本1993年版の「任意退職と解雇の場合の損害賠償について」)。」

 ただ、なかなか示談交渉で応じてもらえることが多いとはいえないため、紛争処理センターを使ってみるのも一つでしょう!

 
kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com


大阪支部 | 交通事故紛争処理センター


 次に、第2の事故当時に「失業」者であったとしても後遺障害逸失利益が認められるべきかが問題となるケース

 ここでは問題の所在が重要です。すなわち、平たくいえば、本来的には失業者は就職していない状況ですから後遺障害に至っても今後稼ぐであろう利益というものは発生しないかもしれない。だけれども、これは将来のこと、つまり、労働の能力及び意欲、就労の見込みの蓋然性等に基づき、今後就職したであろうが以前性があれば、認められることは十分あります。さらに、この場合には、失業前の現実収入の金額あ今後の職業や年齢、学歴、経歴等も参照され、賃金センサスも一つの参考にして、主張していくことが重要です。後述する事例でも同様に毅然と主張していったケースです。

 
www.mhlw.go.jp


 いくつも事例はあるのですが、またご紹介したいと思います^^

 このように、失業者であるからといって諦めて毅然と主張しないことは被害者にとって適切な補償が得られるというわけではありません。実態に即して毅然と主張する、それが重要だと思います!

慰謝料・損害賠償 人身事故
依頼主 50代 男性

1 相談前について

依頼者様は事故当時失業者でありましたが、後遺障害により労働ができなくなっている現状であるのにその分の補償が得られないという保険会社の説明に納得できず、弁護士に相談がありました。

2相談後について

弁護士が依頼を引き受け、事故時に失業していましたが事故がなければ事業展開を行うことを予定しており、その事業展開に係る計画や資料も残存していたため、これを立証資料として主張していくことになりました。

裁判所としては、事故後の収入は依頼者様が思い描いていたとおりとまではいかないとしても控えめに見ても一定の後遺障害逸失利益と過失割合での修正が認められ、交渉時の提示額の3倍程度上昇し、勝訴的和解となりました。

3 野条 健人弁護士からのコメント

失業者は事故時において仕事を行っていないとされるため、事故後に得られたであろう利益もないとされがちです。しかし、事故時は失業していただけであって、今後労働して収入を得られたにも関わらず事故により収入が得られなくなったと言える場合には後遺障害は認められて然るべきだと考えます(法律論では、差額説と労働能力喪失説の立場があってこのあたりは別途言いたいところが沢山ありますが省略します)。

本件では依頼者様の労働能力及び意欲、就労の見込みの蓋然性を立証していきました。裁判所においても、立証が成功した場合には失業前の現実収入の金額、予測される将来の職業、性別、年齢、学歴等を参考にして賃金センサスをベースに控えめながらも基礎収入金額を認めていく傾向にあるのではないかなと思っております。
このような方は一度我々にお気軽にご相談頂ければと思います。

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kagaribi-law.jp


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