弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

交通事故と自己破産

 こんにちは!

 かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です。
 
 さて、本日は、交通事故と自己破産についてお話いたします!

 過去の解決事例については、別で述べておりますので、また適宜ご確認くださいね!

 交通事故の被害者が破産した場合の損害賠償請求権については、全部失うのではないかと思われがちですが、そういうわけではありません。

 まず、重要なのは、交通事故が破産手続開始後なのか、開始前なのかによって分かれてきます。

① 交通事故が破産手続開始後であれば、損害賠償請求権は自由財産となります。

② 交通事故が破産手続き開始前であれば、破産財団に帰属することになりそうですが、交通事故の損害は、慰謝料や今後の治療の填補等将来にわたる問題にかかわるため、損害の内容によって個々に検討されていくことになります。

(1)物損

 破産財団に帰属するとされています。本来は資産であり破産財団に構成されるべきであると考えられるからです。

(2)治療費
 
 治療は、本来は人間の生命や健康を取り戻すための費用であり、生存権にかかわるものとされますから、破産法34条3号、4号の趣旨からしても、自由財産ないし自由財産拡張の対象になると思われます。本来的には相手方保険会社はいる場合には保険会社に支払い済みの場合がほとんどであり、この件で管財人から指摘されることはあまりありません。

(3)介護費用、入院雑費

 このあたりも(2)と同じ趣旨で認められるかなと思います。

(4)休業補償や逸失利益

 これについては、本来は休んでいた分あるいは将来労働能力が喪失したことによるものしては、破産財団に帰属することがあります。ただ、逸失利益は、将来得られたであろう利益という側面があり、この面を強調していくと、自由財産の拡張が認められてもよいとも思えることがあります。事案によって検討されていくのかなと思っています。

(5)慰謝料

 ここは考え方が幾つかあり、議論がなされている項目です。

 本来、慰謝料請求権は確定すれば一身専属性はなくなり、単なる金銭債権となります。そうすると、原則に戻り、破産財団に帰属することになります。ただ、慰謝料の性格は交通事故による精神的苦痛に対する対価、補填的な性質があり、これを破産財団に構成していまうと、被害者保護の観点から妥当ではないと思われます。このため、自由財産の拡張が認められることがあります。このあたりは、弁護士によって考え方が違う面もありますが、当職はできる限り被害者保護の考えに寄り添って活動していきたいと思っております。宜しくお願いします。





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