弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

後遺障害の部位 眼の後遺障害について(視力障害及び調節機能障害編)

こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です^^

目の後遺障害(視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害とそれによる検査方法や賠償交渉等についてお話いたします!

あまり交通事故で目の後遺障害を負わないと思われる方も多いかもしれませんが、実は追突事故でも顔や頭を打ち付けた際に目に異常が生じることもあります。

また、大きな事故になると自動車との衝撃により脳が障害を負い、眼にも影響する事例(これはいくつか当職も経験してきましたのでどこかでお話させて頂ければと思います)や、直接目を衝突によりぶつけたケースで目の後遺障害(視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害などが生ずることもあります。まずは交通事故により眼の不調がある方は、たとえ自費になったとしても一度専門的な検査を受けられることをお薦めします(事故後それなり相当期間経過している場合に事故との相当因果関係も論点して加えられることになります。)

本日は、視力障害と調節機能障害についてお話いたします!!

1 視力障害について
(1)はじめに
 交通事故により視力神経や眼球自体が負傷することがあります。この場合、失明や視力の低下という症状が生じることがあります。経験的にいえば、大きな衝突により他の部位も負傷して視力神経が大きく傷づく場合が多く、眼球自体が負傷することは例えばフロンドガラスの破片が散乱し、負傷したケースや衝撃により物が飛んできて眼球自体が負傷することがあり得ます。これらについては外貌醜状も合わせ後遺障害が残ることもあり得ます(外貌醜状のケースは以下でご参考ください!)
 
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(2)等級認定基準について

 まず、視力障害についての後遺障害の等級認定基準は以下のとおりとなっています。

眼の機能障害
該当する等級(自賠責施行令 別表第二) 認定基準
第1級1号 両眼が失明したもの
第2級1号 1眼が失明し,他眼の視力が0.02以下になったもの
第2級2号 両眼の視力が0.02以下になったもの
第3級1号 1眼が失明し,他眼の視力が0.06以下になったもの
第4級1号 両眼の視力が0.06以下になったもの
第5級1号 1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの
第6級1号 両眼の視力が0.1以下になったもの
第7級1号 1眼が失明し,他眼の視力が0.6以下になったもの
第8級1号 1眼が失明し,又は1目の視力が0.02以下になったもの
第9級1号 両眼の視力が0.6以下になったもの
第9級2号 1眼の視力が0.06以下になったもの
第10級1号 1眼の視力が0.1以下になったもの
第13級1号 1眼の視力が0.6以下になったもの

(3)認定基準と各種テストについて

 視力障害において、失明とは眼球を失った場合や、明暗が判断できない、または明暗がようやく区別できる程度の場合のものとされています。このあたりは明確な区別基準がありますが、視力の低下については様々で、特に最近では相当因果関係が争われることがよくあります。視力の低下の原因が何か、それが非常に重要になってきます。眼球の外傷や視神経の損傷が事故によるものであることを立証する必要があります。
 眼球の外傷につちていはスリット検査や直像鏡検査があり、それでも異常をとらえきれない場合はERGなどの電気検査をする必要があります。ただこのレベルになってくると相当争われることが多いので、セカンドピニオンや第三者の医師による意見書も検討する必要がありますし、後述するように、運動障害での後遺障害も検討する必要があります。

 さらには、頚椎捻挫等により視力の低下が影響してくる被害者の方もいます。このあたり直接的な眼球自体の負傷がない状況では、容易に視力低下の因果関係が認められることは難しいのですが、いわゆる神経症状における後遺障害12級13号や14級9号の可能性は残っています。こちらについての検討も同時並行で毅然と主張すべきだと思います!

 
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 上記の方は、追突事故ですが、頚椎捻挫による影響により、視力がやや低下したのですが、残念ながら視力障害とまではいえず、その因果関係も不詳でしたが、頚椎捻挫による後遺障害を主張して、認められました!

 
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2 眼球の運動機能に関する障害について

(1)はじめに
交通事故により眼球そのものは損傷されていなくても、眼球運動を支配する神経や筋肉が損傷することがあります。眼球の周りには様々な筋肉が複雑にあり、その眼球の運動が制限されて視野が狭くなったり、運動機能に障害が生ずることはありえます。こちらについても眼球の障害としてはあり得ます。

(2)後遺障害認定基準について

次に、眼球の運動機能に関する障害認定基準を紹介させていただきます。

第10級2号 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
第11級1号 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
第12級1号 1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
第13級2号 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

(3)認定基準と各種テストについて

複視は、目の運動障害により物が二重に見えてしまう症状が起きます。これは考えていただければ理解いただけるかと思いますが、生活への影響は大きいです。このため、比較的に後遺障害の程度もそれなりの程度になっています!ヘススクリーンテストなどの眼球運動検査を行って測定しますが、これは専門的検査になりますので、検査する前に医師や弁護士から説明をしてもらうことも大事です。


眼の後遺障害は、後遺障害逸失利益の問題と慰謝料も発生しますが、自賠責基準より裁判所基準で示談する方がよいでしょうし、逸失利益は労働能力喪失期間や割合の問題も生じます。

また、眼の視力生涯が調節機能障害が生ずる場合には、他の後遺障害の問題と関連してくることが多いです。特に脳障害や神経症状等の他の部位とも関連してくることが多いので、他の部位の検討する必要があります。

どこかで目の後遺障害の医療照会の内容についても紹介させていただければと思います!交通事故のお悩みは一人でかかえずに弁護士に一度相談してくださいね!

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