弁護士野条健人の交通事故ノート

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【知識編】後遺障害が認定された場合でも減収があまり見られないとき

 こんにちは!かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です^^

 本日は、後遺障害が認定された場合でも減収があまり見られないときについてお話いたします!

1 問題の所在について

 後遺障害事案における逸失利益については、後遺障害が認定された場合でも減収があまり見られないときに、争いになることがよくあります。

 被害者の皆様は、これに驚かれるかもおられて、どうして労働能力が喪失しているのに逸失利益が認められないの!?という声を聞いたことが少なからずあります。

 これは個人的には「なるほど!?」と思った事も多いのですが、損害賠償実務の考え方の一つに差額説という考え方があります。

 これは、賠償の対象となる損害を、交通事故がなかったならば被害者が得られたであろう収入と事故後に現実に得られる収入との差額とみる考え方です。

  2 裁判例・実務の交渉について

 どうでしょうか?この考え方に立てば、実際の減収がなければ損害の発生は認められないことになってしまいます。

 実際問題、事故ごも真摯な努力をしているにもかかわあらず事故前の収入が維持されているケースもあります。

 また、そもそも論で考察すると、後遺障害による逸失利益は、ある程度長期にわたる収入の減少に対する填補ですから現実的に将来的に減収するのが読めないケースもあります。

 実際の裁判例でも、以下のような裁判例があります。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/246/054246_hanrei.pdf


 実務においては、このような裁判例に基づいて、現実的な収入の減少や後遺障害による労働能力の喪失の程度、部位、被害者の年齢や性別、現に従事している職種をベースにしていきます。
 現実的に減収が生じていない場合には、被害者が普段の生活のなかで努力や使用者の恩情があるかどうか、昇給に影響するか、今後の労働能力喪失するかにも影響するかどうか、が問題となっています。






 この事例も逸失利益について大きく争われたケースですので、一度ご参考になればと思います。また、後遺障害自体の認定の問題については、以下でもまとめております!

kagaribi-kotsujiko.hatenablog.com

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 このような問題でお悩みの方は、かがりび綜合法律事務所に一度ご相談してみてください!

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