弁護士野条健人の交通事故ノート

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高次脳機能障害の認定される可能性がある等級 後遺障害等級7級レベル

 こんにちは!

 かがりび綜合法律事務所代表弁護士の野条です!

 さて、本日は高次脳機能障害の認定される可能性がある等級についてです!重症案件になれば一目瞭然もあるのですが、細かいところで争点となるのが、正直7級、9級あたりの高次脳機能障害が問題となることがあります。等級認定とともに、よく問題となる、後遺障害7級レベルであるかについてもお話いたします!

 
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1 ◆等級について

  1級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
  →身体機能は残存しているが高度の痴ほうがあるために、生活維持に必要な身の周り動作に全面的介護を要するもの

  2級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
  →著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって一人で外出することが出来ず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことが出来ても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことが出来ないもの

  3級3号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することが出来ないもの」
  →自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などの著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

  5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することが出来ないもの」
  →単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの。

  7級4号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することが出来ないもの」
  →一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことが出来ないもの

  9級10号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの」
  →一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

2 WAIS-Ⅲについて
  ここで、長谷川式スケールとともによく使われるWAIS-Ⅲについて説明しておきます。
 「WAIS-IIIでは、16の下位検査項目の結果をもとに粗点を算出し、付属の表を用いて年齢別に調整した評価点を算出する。この評価点を足し合わせることで言語理解・作動記憶・知覚統合・処理速度の群指数を算出する。そして言語理解と作動記憶の群指数を踏まえて言語性IQを、知覚統合と処理速度の群指数を踏まえて動作性IQを算出し、その総合点としての全検査評価合計点をFIQとして算出する。各項目の説明は下記のとおりである。」

 ◆言語理解 低い場合には言語の理解や扱いが苦手と判断され、例えば会話についていけなかったり、自分の気持ちをうまく説明できなかったりする。
 ◆作動記憶 低い場合には聴覚由来の記憶を忘れやすく、聞き間違いが多かったり人の名前・約束をすぐ忘れてしまったりする。
 ◆知覚統合 低い場合には視覚的に得た情報を理解したり、頭の中でまとめたりすることができないことを示唆する。地図やグラフが読めなかったり、話を要約できなかったりなど。
 ◆処理速度 低い場合には視覚的に得た情報を迅速に処理することができないことを示唆する。仕事のペースが遅かったり、単純作業で間違えたりなど。

「WAIS-IIIは比較的多面的な認知機能を評価するものであるが、各テストによって得られた指数(IQ)を単純に絶対値的に評価するだけでなく、言語理解、作動記憶、知覚統合、及び処理速度の、それぞれの群指数間のバラつきの程度が重要であると言われている。群指数の差は、健常人であれば10-15程度であるが、30近く乖離しているとほぼ間違いなく何らかの障害があると推定される。

 これもよければ参考にしてもらえればと思います!

3 (自賠法施行令別表第二第7級4号)に該当するかのポイント
 
まず前提として、高次脳機能障害が確かに存在するかどうか
・「記銘力が低下し」、「視覚的情報理解・整理がうまく行えず」、「迅速な情報処理が出来ない」ため、重要な判断が出来ず仕事の遂行に大きな影響を及ぼしているといえるかどうか
 (なんとか一般就労を維持できる可能性はあるが、作業の手順が悪かったり、約束を忘れたり、ミスが多くなってしまうなどから一般人と同様の作業を行うことができないものであるのか)
・意思疎通能力と問題解決能力、社会行動能力(協調性等)が相当程度失われているといえ、「軽易な労務以外の労務に服することができないもの」といえるかどうか

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