弁護士野条健人の交通事故ノート

交通事故の被害者に役立つ情報を発信していきます!!

素因減額に関する近時の裁判例ー脊髄損傷に関する事例の検討ー

 こんにちは!

 かがりび総合法律事務所代表弁護士の野条です。

 本日は、素因減額に関する近時の裁判例ー脊髄損傷に関する事例の検討ーと題して素因については検討していきたいと思います。

1 はじめに

 素因減額に関する議論は、素因減額自体の可否から、減額対象とすべき素因は何か、減額の有無や程度を判断する際に考慮されるものはいかなる事情であるかに、検討の中心は以降しています。 
 したがって、素因減額の有無の判断は、事案毎に個別性が強く、素因の種類毎に検討される必要があります。

 よく争点となるのが、素因が損害の発生・拡大にどのくらい寄与したのか、素因が寄与している場合の減額の要否と程度となります。ここをきっちり押さえておく必要があります。

2 素因減額を否定した裁判例

 素因減額を否定した裁判例では、既往症のため治療費が月額数千円程度増額したことを認定した上で、素因減額を行わなくても、公平に反しないと判断したものがあります(神戸地裁平成23年8月29日)
 この裁判例でのポイントは、素因が寄与している場合であっても、民法722条2項にいう損害の公平な分担という趣旨に反しなければ、素因減額は行われない場合があると考えています。
 
 また、同じく素因減額を否定した裁判例では、東京地裁平成24年7月17日判決があります。
 この裁判例では、事故時に被害者がOPLLが存在した証拠が十分ではないとし、素因自体が明らかではないし、素因減額を否定しました。
 本件では、被害者の受傷が「第6頸椎脱臼骨折」による脊髄損傷という重傷であり、素因との因果関係を認めなかったのではないかと思われます。

3 素因減額した裁判例

  交通事故前から脊髄損傷を受賞して治療を受けていた事案は、素因減額を受傷して治療を受けていた事案が多いとおもわれます。
  例えば、その裁判例としては東京地裁平成22年3月17日裁判例があります。
  これは、脊髄損傷自体は別件事故により受傷し、それが今回の交通事故で増悪したとして事故との因果関係を認めたとされるものです。
  ①別件交通事故による受傷内容、②今回の事故前後の症状の違い、③今回事故の衝撃等を考慮し、40%から50%という大きな素因減額を認定しているものもあります。

  また、札幌地裁平成23年2月24日判決や大阪地裁平成25年2月19日判決のように、事故前に無症状であった素因が、本件事故により発症したという引き金型という分類をしているものもあります。
  これらの裁判例では、いずれも事故の衝撃は軽微ないし大きなものではなかったこと、素因につき無症状ではあったが事故直前には脊髄圧迫が相当進んでいたとして、事実認定をし、30%程度の減額をしているものであります。

4 まとめ
  素因が損害することが明らかであっても、事故の衝撃が重大であり、素因の存否にかかわらず同様の結果が生じた可能性が高いといえるような事例では素因減額はされない傾向にあります。また、心因的な要因が寄与していることから、素因減額が問題となることもあり、この場合でも心因的な要素によって不必要な治療が行われ、治療期間や休業期間が長期化したという具体的な事実の立証が成功して初めて減額されます(神戸地裁平成21年9月28日判決参照)。
 
  考慮すべき要素をきっちり考慮して被害者の皆様のお役に立てるように精進していきたいと思います。お困りの方はご相談ください。宜しくお願いします。
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